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て形④「かえて」と「かえって」

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「て形」の話題もこれで 4 回目ですね。 今日は、留学生 A さんの経験を紹介します。 ある日 A さんは、学校へ申し込みをしに行きました。 事務室でいろいろなコースの説明を聞いて一つを選び、 申し込むことにしました。 書類を書いて、手続きが全部終わったので、事務室の人に 「かえてもいいですか。」 と聞きました。 すると、事務室の人はちょっとびっくりした顔をして、 「いいですよ。では、もう一度、新しい書類を書いてください。」と言いました。 A さんはそれを聞いて、「どうして?」と思いました。 さて、いったい何が起きたのでしょうか。考えてみてください。 考えている間に、久しぶりに猫の「さくら」に出てきてもらいましょう。 最近はこの教室のアシスタントだということも忘れて、 暖かいところで寝てばかりです。 去年の 3 月にうちへ来るまで、さくらは飼い主がいない動物を世話するペット・シェルターというところにいました。 そこでは「ホーリー」という名前で呼ばれていましたが、うちへ連れてくるときにシェルターの人に「新しい名前に変えてもいいですよ。」と言われたので、「さくら」という名前に変えました。 実は、この話の中に、問題の答えがあります。 A さんは、うちへ 「帰りたい」 のですから、 「 かえって もいいですか。」 と言わなければならなかったのです。 「かえて」は「変える」のて形 です。 それで、事務室の人は A さんが今決めたばかりのコースを他のコースに 「変えたい」 と理解したのです。 二つの動詞の辞書形「かえる」を整理してみましょう。 帰る : か ¯ える  … Ⅰグループ → か ¯ えって 変える: か「える …Ⅱグループ → か「えて 意味やグループだけでなく、アクセントも違うので気をつけてくださいね。 て形シリーズはこちら: て形① なぜ間違えやすいの? て形②「かって」と「かいて」 て形③「きって」「きいて」「きて」 て形⑤「はいて」と「はいって」

て形③「きって」「きいて」「きて」

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前回は、「買う」「かって」と「書く」「かいて」を復習しました。 今回はちょっとレベルアップしましょう。 下の[  ]に入るのは、 [  A  きって   B  きいて  C  きて ] のどれでしょうか。 ① 私の話を[   ]ください。 ② 明日、9時にここへ[    ]ください。 ③ このりんごをナイフで半分に[    ]ください。 ④ 寒かったら上着を[    ]ください。 「て形」は同じでも、もとの動詞が違うものがあります。①~④に入る動詞は全部意味が違います。ルールを確認したい人は て形① なぜ間違えやすいの? を見てください。 答えを発表する前に、私が日曜日に行った場所を紹介します。 それは「きって」という名前のビルで、東京駅のすぐそばにあります。 KITTEビル KITTEビルから見た東京駅 この名前は動詞の「て形」ではなく、郵便の「切手」から来ています。 古い郵便局の建物を残して、中を新しいショッピングセンターにしたもので、ファッション、雑貨、本屋、カフェなど、おしゃれな店がたくさん入っています。もちろん郵便局もあります。このビルからは、東京駅がよく見えます。 さあ、クイズの答えです! ① 私の話を [  B  きいて ] ください。 ② 明日、9時にここへ [  C  きて ] ください。 ③ このりんごをナイフで半分に [  A  きって ] ください。 ④ 寒かったら上着を [  C  きて ] ください。 それぞれの辞書形を示します。ひらがなについている記号は、アクセントの高さです。 ①  聞く:き「く … Ⅰグループ   ②  来る:く ¯   る   … Ⅲグループ ③  切る:き ¯   る   … Ⅰグループ ④  着る:き「る   … Ⅱグループ ②と④の「きて」は意味だけでなく、アクセントも違います。  ②は   ここへ き ¯ て  ください。  ④は   上着を き「て ください。 のように、高い・低い が反対になります。 て形シリーズはこちら: て形① なぜ間違えやすいの? て形②「かって」と「かいて」 て形④「かえて」と「かえ...

て形②「かって」と「かいて」

下の[  ]に入るのは、 [  A  かって   B  かいて  ] のどちらでしょうか。   公園で、絵を[    ]います。 答えは、 A の場合も B の場合もありますが、 意味が違います。 A 「絵をかっています。」 は「お金を払って絵を買う」ということを 今しているという意味になります。 B 「絵をかいています。」 は「自分で絵をかく」ということを 今しているという意味になります。 なぜそうなるかは、前回の記事 て形① なぜ間違えやすいの? の、 Ⅰグループの動詞 のいろいろなパターンを見てください。 では、次の場合を考えてください。 あなたは、絵が上手な友達に頼んでいます。   わたしを[      ]ください。 A 、 B のどちらが[  ]に入りますか。 そして、もし間違えたら、どんな変な意味になるでしょうか?? 気をつけてくださいね。 て形シリーズはこちら: て形① なぜ間違えやすいの? て形③「きって」「きいて」「きて」 て形④「かえて」と「かえって」 て形⑤「はいて」と「はいって」

て形① なぜ間違えやすいの?

みなさんはもう、動詞の「て形」を間違えなくなりましたか。 それともまだ時々「あれ? 間違えたかな?」と思うことがありますか。 初級で初めて「て形」を勉強したとき、 「こんな面倒なことを覚えるなんて、もう嫌だ!」と思ったことはありませんでしたか。 グループⅡ の動詞は、   たべます → たべて   みます  → みて のように、「ます」を「て」に変えるだけ。 グループⅢ の動詞は不規則動詞ですが、   きます → きて   します → して ですから難しくないですよね。 グループⅠ の動詞については、苦労した人も多いはずです。 「~います」「~ります」「~ちます」 →  「~って」 (辞書形は「~う」「~る」「~つ」) 「~みます」「~びます」「~にます」 →  「~んで」 (辞書形は「~む」「~ぶ」「~ぬ」) 「~きます」 →   「~いて」 (辞書形は「~く」  *「行く」だけは例外で「行って」) 「~ぎます」 →   「~いで」 (辞書形は 「~ぐ」) 「~します」 →   「~して」 (辞書形は「~す」) こんなにパターンがあるのですから、大変ですよね。 実は、ずっとずっと昔の古い日本語の規則はもっと簡単で、 「ます形」 + 「て」だったのです。 待つ → 待ちて 読む → 読みて 書く → 書きて  のように… どうして変えてしまったのかって怒らないでくださいね。 長い間に、楽に早く発音できるように音が自然に変化した結果、 今の「て形」になってしまったのです。 日本語を外国語として学ぶ人には、ちょっと申し訳ない気がします。 これから何回か、よく見る「て形」の間違いについて、その原因と対策を考えていきたいと思います。 て形シリーズはこちら: て形②「かって」と「かいて」 て形③「きって」「きいて」「きて」 て形④「かえて」と「かえって」 て形⑤「はいて」と「はいって」

成人式

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今日、 1 月 12 日は「成人の日」です。 日本のいろいろな場所の市・町・村で成人式が行われました。 男性はスーツ、女性は「振袖(ふりそで)」という華やかな着物を着ていくことが多いです。女性は美容院でヘア、メークをしてもらい、着物を着せてもらって出かけるので、朝早くから大変です。 何をするのか、ある大都市のプログラムを見てみたら、市長さんなどのあいさつ、有名人など特別なお客様のあいさつ、新成人のあいさつ、コンサートなどの内容でした。 地域の成人式に行けば、小学校や中学校の時の友達と久しぶりに会うことができます。子供の時と変わった人もいれば、変わっていない人もいて、会場でなつかしい友達をさがすことが、式の内容よりも大きな楽しみなのだと思います。 皆さんの国には、「何歳からが大人だ」というはっきりした境界線がありますか。 日本では法律の上で、 20 歳からが「成人」つまり大人と決まっています。選挙に行くことによって政治に参加するのも、たばこを吸ったりお酒を飲んだりすることができるのも、 20 歳になってからです。 法律の上では大人と言っても、日本の 20 歳のほとんどは、まだ親に学費を出してもらって大学や専門学校で勉強している人です。本当に自立するのはまだまだこれからです。 では、最後に久しぶりに助詞クイズをやってみましょう。 正しいのはどれでしょうか。 大人 [ A.が  B.を  C.に ] なる。 すぐに答えられましたか。 正解はCです。 「子供」つまりまだ大人ではない状態から、「大人」という新しい状態に変化するので、「に」が正しいです。 このクイズはちょっと簡単すぎたかもしれませんね!

新しい年を迎えて

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みなさん、明けましておめでとうございます。 昨日 1 月 1 日は関東地方でも少し雪が降って、 とても寒いお正月になりました。 私は近くの神社へ「初詣(はつもうで)」に行ってきました。 初詣とは、年の初めに神社、またはお寺へ行って、 新しい年の幸せを願うことです。 いつもは静かな小さい神社の前にも、 順番を待つ人の長い列ができていました。 新しい年の最初の食事は「お節(おせち)」という料理です。 前の日の夜、遅くまでがんばって作ったので、とてもおいしくできました!写真だけで皆さんに食べてもらえないのが残念です。 日本で一般的にお正月をお祝いするのは、 1 月 1 日、 2 日、 3 日の三日間です。 この間は家族や親戚が集まってお祝いをしたり、様々なイベントに参加したり、普段とは違う気持ちで過ごす期間です。 そして、それが終わるとまた忙しい毎日に戻ります。 みなさんは、新しい年の始まりをどのように迎えましたか。 今年も夢と目標を持って、良い一年にしていきましょう!

明日はお正月

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今日は12月31日、「大晦日(おおみそか)」です。 都会のマンションに住んでいて、普段は日本の伝統から離れた生活をしている人々も、新しい年を迎えるにあたっては、それなりにお正月を迎える準備をします。 かどまつ たとえば、建物の入り口には写真のような「角松(かどまつ)」と言う飾りが左右に並べられます。これはお正月の神様に、うちの場所を知らせるものだと言われています。 また、うちの中にも「鏡餅(かがみもち)」というものを飾ります。 これは、スーパーで売っている簡単に組み立てられるタイプのものです。大きい餅の上に小さい餅を重ねて置き、その上に小さいミカンをのせてあります。といっても、これはプラスチックの偽物です。本物の餅は、時間がたつとだんだん割れてきたり、カビが生えたりして大変ですから、いつのころからかこんな便利な商品が利用されるようになりました。 かがみもち でも、完全に偽物ではなく、餅の形をした白いプラスチックのケースの中には、本物の食べられる餅が入っています。 以前は、お正月に食べる「お節(おせち)」と言う伝統料理を大晦日に作るのが一般的でしたが、最近はデパートなどで作られたものを買うか、あるいは食べない人も多くなり、手作りする人は少数派になってしまったようです。 実は私はこの少数派のひとりで、今がんばって作っているところなんです。まだ完成していないので写真を紹介できないのが残念! では、そろそろキッチンにもどります。 皆様、どうぞよいお年を! そして来年も「おかえり!日本語教室」へ遊びに来てくださいね。