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「そうじ」の日本語 掃く(はく)・洗う(あらう)・拭く(ふく)

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私は今、お正月の準備で忙しいです。今日は「大掃除(おおそうじ)」をしています。新しい年を迎えるために、家をきれいにするのはとても大切なことです。きたない家には、お正月の神様が幸せな一年を持ってきてくれませんから。 では、「そうじ」をあらわすのには、どんな日本語を使うでしょうか。 よく使う動詞に、「はく」「あらう」「ふく」があります。 下の写真を見て(    )にどれが入るか考えてみてください。 使っている道具の名前は、上から順番に「ほうき」「ぞうきん」「モップ」です。 1.げんかんをほうきで(    )。 2.ゆかをぞうきんで(    )。 3.かべをモップで(     ) 答えは、 1.げんかんをほうきで( はく )。 2.ゆかをぞうきんで( ふく  )。 3.かべをモップで ( あらう )。 です。 1.の「ほうきではく」の「はく」は、漢字で「掃く」と書きます。 同じ発音、同じグループの「吐く」とは全然意味が違いますから気を付けましょう。こちらの意味については、 http://tofunihongokyoushitsu.blogspot.jp/2015/03/blog-post.html を見てください。 2.の「ふく」は漢字で「拭く」と書きます。そうじに使う布を「ぞうきん」といいますが、水でぬらしても、かわいたままでも、そうじ用の薬のついたものでも、このようにしてきれいにするのは、「ふく」です。 3.の「あらう」は漢字で「洗う」と書きます。水の中で、または水をかけながらきれいにすることです。せんたくする意味の「服をあらう」や、「お皿をあらう」など、水をたくさん使います。 昔アメリカでホームステイした時、 wash the table と聞いて、「テーブルをあらうの? テーブルを外に持って行って水をかけるの??」思ったことがあります。でも、実際は水で「ふく」ことでした。言葉によって、意味が少しずれているのですね。 それでは次に、これは何をしているでしょうか?(  )に動詞を入れてください。 4.ゆかに掃除機を(     )。 答えは 「ゆかに掃除機を( かける )。」です。 「かける」にはとて...

「おめでとう」はちょっと待って!

寒くなってきました。今年 も、もうすぐ終わりですね。 今日、学生からこんなメッセージが来ていました。 「先生、明けましておめでとうございます。」 ちょっと待って! 今はまだ12月ですから、このあいさつはまだですよ! 気持ちはうれしいですが、これは、よくあるま ちがいです。 普通の日本人ならびっくりしてしまいます。な ぜでしょうか。 「明けまして」は、「年が明ける」ということばから来ています。 これは、「古い年が終わって、新しい年になる」という意味です。 そして、「明けまして」の「て形」の意味が重要です。 例えば、「友達に会え て 、うれし かったです。」 と言えば、「友達に会え ました。だから、 うれしかったです。」ということです。 同じように、「明け まして おめでとうございます。」は、 「もう、新しい年になり ました ね。あなたもわたしも新しい年を迎えることが できました 。 だから、 おめでとうございます。」ということです。 ですから、 12 月の今、この言葉はまだ使えません。新しい年の 1 月 1 日 0 時 0 分 0 秒を過ぎてから、使ってください。 では、 12 月の間は何と言えばいいのでしょうか。 「この人とは、今年はもう会わない。次に会うときは来年だ。」という場合のあいさつの言葉があります。 「 よいお年を! 」です。 「どうぞ、よいお年をお迎えください。」という意味です。 反対にこちらは、 12 月 31 日の夜 12 時の前までしか使えませんから、気を付けてください。つまり、新しい年に変わったとたんに、あいさつの言葉が「よいお年を」から「明けましておめでとうございます。」に変わるということです。

「さき」と「さっき」

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間違えて使っている人が多い言葉に「さき」と「さっき」があります。   「やはり」と「やっぱり」が同じ言葉の書き言葉と話し言葉なので、「さき」と「さっき」も同じかな…と思ったら大きな間違いです。この二つは別々のことばで、意味が違います。 「さき」は、「先」という漢字があります。小さい「っ」はありません。 ふつう、「に」をつけて「お先に失礼します。」のように動詞の前に使います。 することが二つ以上あるとき、順番が早いほうが「先」です。 「 お先に 失礼します。」は、「あなたが帰る」と「わたしが帰る」を比べて、「わたしが帰る」ほうが早いので、このようにあいさつをします。 また、勉強するか、ゲームをして遊ぶか、迷ったときあなたはどうしますか。「勉強のほうが 先 !」ですね。「まず 先に 勉強して、」それから、遊びましょう。 一方「さっき」には漢字がなく、うしろに「に」をつけることもありません。つまり「 さっきに 」は間違いです。 「さっき」は「今から少し前の時」という意味です。 「少し前」が何分前かはっきり言うのは難しいですが、 「 さっき 、田中さんと言う人から電話がありました。」 と言ったら、電話があったのは、今からだいたい1分ぐらい前から、1時間ぐらい前までの間だと思います。 後ろに「から」や「まで」をつけて 「 さっきまで 雨が降っていました。」 「 さっきから 雨が降っています。」 のように使うこともできます。 わたしは昨日、東京の海に近いところにある「浜離宮庭園」という公園へ行きました。江戸時代の徳川将軍家の庭だったところで、「三百年の松」という古い松の木があります。 この池には、海の水も入ってくるそうです。 池のそばに、お茶屋という休むための場所があります。 そこでは、日本の伝統的なお菓子と、お抹茶(powdered green tea)を楽しむこともできます。 苦いお抹茶をおいしくいただく方法は、 (     )甘いお菓子を食べて、口の中が甘くなってから、お茶を飲むことです。 では、ここで質問です。 (     )に入るのは「さっき」と「さきに」のどちらですか? 浜離宮庭園(はまりきゅうていえ...

助詞をまちがえたらどうなるか2

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今回は、前回の助詞の話の続きです。 次の例は、科学の実験です。 A と B は、何が違うのでしょうか。 A … 硫酸( H 2 SO 4 ) を   水 に  入れる B … 硫酸( H 2 SO 4 ) に   水 を  入れる 助詞が同じなら、ことばの順番を変えても意味は同じです。 A … 水 に   硫酸( H 2 SO 4 ) を  入れる B … 水 を   硫酸( H 2 SO 4 ) に  入れる それでは、 A と B を絵で見てみましょう。 「~ を 」は、「入れるもの」を表しています。 「~ に 」は、ものが「入っていくところ」を表しています。 A と B では、それが反対です。 理科の知識がある人は「あぶない!」と気がついたと思います。 B は爆発する 危険がありますね。 このように、助詞を間違えたらけがをする場合もあるのです。   実験や料理をする人は、この「入れる」という動詞と一緒に使う「を」と「に」をしっかり理解してくださいね。

助詞をまちがえたらどうなるか1

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「日本語で何が難しいですか。」と質問すると、大勢の人が「が」「に」「を」などの助詞がいちばん難しいと答えます。 では、助詞を間違えた場合、どんな問題が起きるでしょうか。 あまり問題が起きない場合と、大きい問題が起きる場合があると思います。 あまり問題が起きない場合は、相手に「ちょっとへんだな」と思われますが、何が言いたいかわかってもらえます。 例えば、「に」と「で」を間違えて、 「東京 で 住んでいます。」と言った場合がそうです。 相手は「東京 に 住んでいます」という意味だろうとわかってくれます。 「に」と「で」の違いについては   http://tofunihongokyoushitsu.blogspot.jp/2014/11/blog-post_16.html を見てくださいね。 反対に、助詞の間違いによって、すごい意味になってしまうこともあります。 先週、私が教えている大学の授業で、 「落ちてくる」ということばの使い方を練習していました。 ものが落ちて、話している「わたし」のほうへ来るという意味です。 A さんが、こんな例文を作りました。 木の枝 から   頭 が   落ちてきた。 その時の私たちの会話です。 とうふ:「ええーっ、本当ですか?! 怖すぎます。」 A さん:「本当です。」 とうふ:「警察を呼びましたか?」 A さん:「なぜ…?」 もう一度よく聞いてみたら、実は A さんが言いたいことは、 こちらでした。 木 から   枝 が   頭 に   落ちてきた。 これも、少しびっくりすることですが、警察を呼ばなくてもいいですね。 この文の中心にあるのは、   落ちてきた   という動詞です。 そして、「 木 」「 枝 」「 頭 」という名詞と 落ちてきた   との 関係を表している のが助詞です。 木 - から  「落ちてくる」という動きが始まるところ 枝 - が   落ちてきたもの   頭 - に   落ちてきたものが行く方向 ですから、名詞につく助詞が同じだったら、 ことばの順番を 枝 が   木 から   頭 に   落ちてきた...

七五三 7は「なな」? 「しち」?

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少し寒くなってきましたが、爽やかで気持ちのいい天気が続いています。 今、日本の神社へいくと、伝統的な着物を着た子供たちをよく見ます。   長いそでの着物は「ふりそで」です。 スカートのようなものは「はかま」、上着は「はおり」です。   これは、 11 月が「七五三(しちごさん)」という伝統的な行事の季節だからです。 漢字の七五三を数字で書くと7・5・3です。 7 歳の女の子、 5 歳の男の子、 3 歳の女の子がこのお祝いをします。 子供がここまで大きくなったことを家族で祝い、これからも無事に成長することを神様にお願いします。   「 7 歳」は「 しちさい 」ではなく「 なな さい」ですが、「七五三」は「 しち ・ご・さん」と発音します。 数字の7は「しち」と読む場合、「なな」と読む場合、どちらも使う場合 がありますから、ちょっと困りますね。 では、これを読んでみましょう。答えは下にあります。 ①  7 年 ②  7 月 ③  7 日 ④  17 日 ④  7 時 ⑤  7 分 ⑥  7 人 ⑦  7 番 ⑧  7 クラス 答え  (使わないものを 〇〇 のように消してあります。) ① ななねん しちねん ②   なながつ  しちがつ   ③ なのか   しちにち ③ じゅうななにち じゅうしちにち ④   ななじ   しちじ (「ななじ」を使うこともあります) ⑤ ななふん  しちふん ⑥ ななにん しちにん ⑦ ななばん  しちばん ⑧ ななクラス  しちクラス 「覚えられない!」と言わないで、よく見てください。 「なな」を使う場合と、どちらでもいい場合が多いでしょう。 ですから、②と④の「しちがつ」と「しちじ」だけをしっかり覚えて、ほかの場合は「なな」を使えば大丈夫です。 もし、それで間違えても、「なな」は発音がわかりやすいですから、たぶんわかってもらえるでしょう。 一方の「しち」のほうは「いち」と間違えやすいので、「し」のshをはっきりと発音してくださいね。 似ている記事はこちら: 数字の読み方 100~900をどう覚える? 数字の読み方 せん?ぜん?

「かす」と「かりる」2.

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では、前回の質問の答えです。 「ごめん、財布忘れちゃったから、 ×  150 円かしてもいい ? 〇  150 円かりてもいい? 」 Bが正解です。 「~てもいい(ですか)?」は、 「わたしはそのことをしたいんですが、あなたはいいですか?」 という意味です。 財布を忘れたあなたがしたいことは、友達にお金を「かりる」です。 じゃあ、問題をやってみましょう。 わたし(とうふ)と猫のさくらが話しています。ボールはさくらのです。 (①)から(④)に、 〔  かす    かりる    かえす  〕の中から 正しいものを選んで、正しい形にして入れてください。 とうふ:「さくらちゃん、きれいなボール、ちょっと(①)くれない?」 さくら:「とうふ先生、いいですよ。(②あげますよ。」 さくらに(③)ボールをハロウィンの人形につけてみた。 でも、ぜんぜんあわないみたい…。 とうふ:「さくらちゃん、これ、(④)ね。どうもありがとう。」 さくら:「どういたしまして。」 答えは、 ① かして ② かして ③ かりた ④ かえす  です。 いくつできましたか?全部できたらすごいです! 前の記事はこちら: 「かす」と「かりる」1. 似ている記事はこちら: 「まだ」と「まだまだ」 「さき」と「さっき」