テレビのニュース番組などを見ていると、よく本当に日本語が上手な外国人が出てきます。普通の日本人よりずっと滑らかで豊かな日本語を使って、インタビューに答えていたり、社会や経済の問題について説明していたりします。そんなすごいレベルの人でも、どんな国の人でも、「×いいだ と思います」のように「いい」に「だ」をつける間違いをするのを聞くことがあります。
「×いいだ」は初級から上級、超級まで、よくある間違いのキング(王様)ではないでしょうか。その原因はもちろん、日本語に「い形容詞」と「な形容詞」があって間違いやすいということだと思います。
これは初級から何度も勉強する基本のルールです。
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ことば
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丁寧形 polite f.
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普通形 plain f.
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い形容詞 i-adjective
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さむい
たかい
いい
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さむいです
たかいです
いいです
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さむい
たかい
いい
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な形容詞 na-adjective
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ひま
しずか
げんき
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ひまです
しずかです
げんきです
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ひまだ
しずかだ
げんきだ
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名詞 nown
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学生
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学生です
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学生だ
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「だ」をつけるのは、「な形容詞」と名詞の文だけですが、「です=だ」と思って「い形容詞」にも「だ」をつけて「×さむいだ」「×いいだ」と言ったら間違いになります。
でも、そんなことはよくわかっている人でも間違えてしまいます。その原因の一つは、「だ」に強調するイメージがあることでしょう。「本当にいい!」と強く思ったら、「本当にそうだ」と同じように、つい「×いいだ」と言ってしまうんじゃないでしょうか。
もう一つ、原因が考えられます。それは「いいのだ」のように、「のだ」(話し言葉では「んだ」)という表現があることです。「のだ」をつけてもつけなくても意味は同じですが、「のだ」があると、「原因・理由・事情などを説明する」「驚きなどの気持ちを表す」など、話す人の姿勢(しせい attitude)や意図(いと intention)が入ります。
「の(ん)」は、文法的には「名詞」なので、「さむい + の +だ」となって、今度は下の表のように「だ」が必要になります。
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ことば
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丁寧形polite
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普通形plain
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い形容詞
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さむい
たかい
いい
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さむいのです
たかいのです
いいのです
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さむいのだ
たかいのだ
いいのだ
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な形容詞
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ひま
しずか
げんき
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ひまなのです
しずかなのです
げんきなのです
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ひまなのだ
しずかなのだ
げんきなのだ
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名詞
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学生
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学生なのです
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学生なのだ
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このせいで、「だ」がある時とない時の違いがもっと覚えにくくなるのかもしれません。
このように、「×いいだ」という間違いをしないのは、とても難しいです。でも、気にしないほうがいいです。なぜなら、間違えても意味は分かりますから。この間違いを気にするのは、たぶん日本語の先生だけですね。私はそんな間違いを心配しないで、どんどん話したほうがいいと思います。(「×話したほうがいいだ」じゃなくて「話したほうがいい」と思います!)
では、問題です。写真を見てください。さくらのことばです。どちらが正しいでしょうか。
A「このうちはちょっとせまいだと思う」
B「このうちはちょっとせまいと思う」
答え B