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明日はお正月

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今日は12月31日、「大晦日(おおみそか)」です。 都会のマンションに住んでいて、普段は日本の伝統から離れた生活をしている人々も、新しい年を迎えるにあたっては、それなりにお正月を迎える準備をします。 かどまつ たとえば、建物の入り口には写真のような「角松(かどまつ)」と言う飾りが左右に並べられます。これはお正月の神様に、うちの場所を知らせるものだと言われています。 また、うちの中にも「鏡餅(かがみもち)」というものを飾ります。 これは、スーパーで売っている簡単に組み立てられるタイプのものです。大きい餅の上に小さい餅を重ねて置き、その上に小さいミカンをのせてあります。といっても、これはプラスチックの偽物です。本物の餅は、時間がたつとだんだん割れてきたり、カビが生えたりして大変ですから、いつのころからかこんな便利な商品が利用されるようになりました。 かがみもち でも、完全に偽物ではなく、餅の形をした白いプラスチックのケースの中には、本物の食べられる餅が入っています。 以前は、お正月に食べる「お節(おせち)」と言う伝統料理を大晦日に作るのが一般的でしたが、最近はデパートなどで作られたものを買うか、あるいは食べない人も多くなり、手作りする人は少数派になってしまったようです。 実は私はこの少数派のひとりで、今がんばって作っているところなんです。まだ完成していないので写真を紹介できないのが残念! では、そろそろキッチンにもどります。 皆様、どうぞよいお年を! そして来年も「おかえり!日本語教室」へ遊びに来てくださいね。

「について」と「にとって」

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日本語の文法で間違えやすいものといえば、まず助詞ですが、 助詞ではないけれど似ている働きをするもう少し長いことばがあります。 (「助詞相当語:じょしそうとうご」という名前もあります。) それらは例えば、「について」や「にとって」などです。 この二つはどちらも名詞に続き、音も少し似ているせいか、間違えて使われることが少なくありません。 [名詞] について~。 は、 「 明日の予定 について話す」 「 スポーツの歴史 についてレポートを書く」 のように、前に来る [名詞] は話したり書いたりすることの「テーマ」です。 そして、「について」の後ろに来るのは、「書く」「話す」のほか「説明する」「述べる」など、必ず書いたり話したりする意味を持つ動詞です。 一方、 [名詞] にとって~。 は、 「日本の冬は、 暖かい国から来た人 にとって、寒くてつらい。」 「 90 分の授業は 大学生 にとってはちょうどいいが、 小学生 にとっては長すぎる。」 のように、 [名詞]  の人の視線で見た評価を表します。同じものでも見る人が違えば、評価や意味が違うということですね。 後ろに来るのは、「大きい」「小さい」「難しい」「やさしい」のような評価を表す形容詞が多いですが、下のように名詞が来る場合もあります。さくらが持っているのは、電気コードを束ねるのに使っていたカバーです。 これは、あなたにとってはゴミかもしれませんが・・・ わたしにとっては大切なおもちゃです。

今年の漢字

2014 年も残り約 2 週間になりましたね。 このような 1 年の終わりの時期を「年末(ねんまつ)」と呼びますが、年末にはいろいろな行事があります。 そのひとつ、「今年の漢字」の発表が昨日ありました。 それは、一般の人がこの1年の日本の社会を表現する漢字を 1 字選んである団体に送り、一番多かった漢字が「今年の漢字」として発表されるというものです。今年も約 16 万人から応募があったそうです。   発表は、京都の清水寺という観光地にもなっている有名なお寺で、偉いお坊さんが大きい紙に筆でその字を書くことによって行われます。 その年の出来事によって、「愛」のような良い字が選ばれることもあれば、「偽」や「変」だったこともあります。 さて、今年の漢字は・・・ 「税」でした。税金の「税」です。 今年は 4 月に消費税が5%から8%に上がりました。 そして、来年 10 月にまた 10 %に上げることも決まっていたのですが、景気への影響を考えて、延期されることになりました。 税金が上がると生活への影響は大きいですが、少子高齢化が進む日本で、社会保障のお金が足りなくなってしまったら本当に困ります。 「税」は本当に、頭の痛い問題です。 私も自分自身の今年 1 年を表す漢字を考えてみました。 それは「新」です。 なぜなら今年は新しいことを二つ始めたからです。 1 月 5 日にこのブログ「おかえり!日本語教室」を始め、 3 月には猫の「さくら」を飼い始めました。 皆さんも、自分のこの一年を漢字 1 文字で表してみませんか。

「心が折れる」という表現

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日本語には、「足を伸ばす」(わざわざちょっと遠くまで行く)、「腹が立つ」(怒る)など、体の一部を使った慣用表現がたくさんあります。 また、く「心」についても、「心が躍る」(楽しみで興奮する)、「心に刻む」(忘れないようにしっかり覚える)など、様々な言い方があります。 そんな中で、最近若い人を中心によく使われるようになった表現で、ちょっと気になっているものがあります。 それは、「心が折れる」です。 昔はそんな言い方はあまりしなかったような気がします。 「心が折れる」 この意味は、 それまでがんばっていたのに、 自信を無くすようなことや とてもショックなことに出会って、 突然やる気や元気をなくしてしまうということです。 「折れる」には、硬い棒のようなものがポキッと二つに折れて、 もう元に戻らないようなイメージがあります。 ですから、その人が感じた心の痛みと、 「もうだめだ」という絶望感をよく表していると思います。 でも、私は「心が折れる」に対して、ちょっと疑問を感じています。 それは「心」は「折れる」ものだろうかという疑問です。 心は傷つきやすく、痛みを感じやすいです。 でも、心はやわらかく、しなやかで、折れたりしないものではないでしょうか。 「心が折れた!もうだめだ!」と思い込むのは、 そのような表現によって「思い込まされて」(使役受け身形)いるのかもしれません。 時間がたてば、また何かのきっかけによって元気な心を取り戻せるのではないでしょうか。 使役受け身形の説明は次回!   さくらは冬用の新しいうちをもらいました。

イルミネーションの季節

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昨日、仕事が終わって帰ろうとしたら、キャンパスのイルミネーションが点灯していました。 日本はキリスト教国ではなく、この大学もキリスト教の学校ではありませんが、 クリスマスが近づくと、宗教とは関係なくいろいろなところにイルミネーションが登場します。 一年が終わり、新しい年が近づくころは、寒さが最も厳しい時期です。 冬の夜に輝くイルミネーションは、寒さを忘れて何か特別な気分にさせてくれます。 このようにイルミネーションがあちこちで盛んになった背景には、LED電球の普及があると思います。光が鮮やかで電力消費量が少ないLEDを発明したのは、3人の日本人研究者です。 彼らがノーベル賞受賞者に選ばれたことは、今年の日本のニュースの中でイルミネーションのように輝いています。

場所の助詞「で」と「に」  「日本(で)住む」はなぜ間違いか

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皆さんは、「『住む』の前は『で』じゃなくて『に』ですよ。」と直されて、「あ、また間違えた!」と思ったことはありませんか。 場所の助詞といえば、「で」なのに、なぜ「~(で)住む」ではなく、「日本(に)住んでいる」と言わなければならないのでしょうか。 「に」を使う理由は、「住む」という動詞が表すのが、「何かをする」という具体的な動作ではなく、そこに「いつもいる場所がある」、「住所がある」、というような状態だからだと思います。 場所の助詞「で」は、具体的な動作、つまりアクション( action ) の舞台を表します。 例えば、「部屋で友達と話している」と言えば、「部屋」は「友達と話す」という動作をしている舞台です。ですから、「で」に続くのは、「ご飯を食べる」、「音楽を聞く」、「本を読む」などの具体的な動作を表す動詞です。 これに対して「住む」は、「そこ(に)いる」状態を表すと考えると、間違えにくくなるのではないでしょうか。 「住む」に似た動詞に、「生活する」がありますが、こちらはご飯を食べたり、掃除をしたり、寝たり起きたり、…というような具体的な動作を全部含めた意味を持っているので、 「日本(で)生活する」になります。 さくらはすてきなうち(に)すんでいます。 さくらはうち(で)ほんをよんでいます。

「赤くなる」「きれいになる」

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  同じ場所から撮った 2 枚の写真から、 紅葉(こうよう:木の葉が落ちる前に、色が赤や黄色に変わること)の様子 がよくわかります。 今日は、日本語の変化の表現の基本を復習しましょう。 まず、「赤 い 」のような「い形容詞」を使うなら、「 ~ くなる 」の形にして、 「 木の葉が、赤 くなった 。 」 のように変化を表現するんでしたよね。 では、「きれい」はどうでしょうか。こちらは「きれい な 花」というように「な形容詞」ですから、 「 ~ になる 」の形にして、 「 きれい になった 。 」 のように変化を表現します。 名詞の場合も、「な形容詞」と同じで、 「 11 月 になった 。 」 「 私は将来、経営者 になりたい 。 」 のようになります。 それでは、動詞の場合はどうでしょうか。 動詞には、もともと変化の意味を持っている動詞と、 変化の意味がない動詞があります。 変化の意味を持っている動詞には、「変わる」、「慣れる」、「(病気が)治る」などがあります。 これらは、そのまま 「 秋になれば木の葉の色が変わる。 」 「 もう新しい生活に慣れた。 」 のように使います。 では、例えば「食べる」のように、変化の意味がない動詞の場合は、 どうすればいいでしょうか。 こちらは「 ~ ようになる 」をつけて、 「 日本へ来る前はあまり魚を食べなかったが、こちらへ来てから 食べるようになった。 」 のようにします。   以前は「食べなかった」が、最近「食べる」へ 習慣が変化した という意味になります。 「~ようになる」は、 「前は辛い物が食べられなかったが、最近 食べられる ようになった。」 のように可能形といっしょに使われる場合もあります。 その場合は「できなかった」ことが「できる」状態に変化したという意味になります。 では、逆の場合はどうでしょうか。 前は「した」ことが「しない」状態になったり、 前は「できた」ことが「できない」状態になったりした場合です。 「し ない 」「でき ない 」の「な い 」は文法的に「い形容詞」と同じ形なので、「 ~ くなる ...

日本のハロウィン

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皆さんの国にハロウィン( Halloween )はありますか。今日 10 月 31 日がその日ですが、 これはもともと欧米の行事で、魔女やお化けの格好をした子供たちが、近所の家を訪ねてお菓子をもらったりするんですよね。 ハロウィンについては、昔は英語の授業で「外国にはこんな祭りがあります」と習うだけで、日本は関係ないという感じで した。 ところがこの2、3年ぐらいの間に、日本でもこの行事が行われるようになってきました。そして、日本に入ってくるときにもともとの欧米の行事とはちょっと変わってしまった点があります。 この「和製ハロウィン」の一番目の特徴は、まず大人(といっても若い人ですが)のコスプレ・パーティーのようになっていることです。町での仮装パレード、友たちとのパーティーなど、大勢の人が「いつもの自分とは違う姿」で参加しています。 もう一つは、 10 月 31 日当日だけではなく、期間が長いということです。先週ぐらいから、週末を中心にいろいろな行事が行われているようです。 実は先週の日曜日、何も知らずに買い物に出かけたら、ちょうど大規模な仮装パレードが終わったところでした。満員電車の中で、私のそばにはうちへ帰るお化け、魔女、ゾンビ、ドラキュラ、アニメのキャラクターなどがいっぱい! 皆さん化粧や服はそのままですが、心はもとの普通の人間に戻っているようで、みんなちょっと困ったような顔をして静かに立っていましたよ。

「い形容詞」と「な形容詞」の接続の形

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前回紹介した間違いは、下線の部分が違います。 よく見る間違い1.  大型 と 猛烈 の 台風  よく見る間違い2.  強 いで 大型の台風  まず、1.の「大型 と 」について、 「大型」は名詞ですが、「ペンとノート」のような物ではなく、状態を表しているので、 「(~は )N だ。」という名詞文の接続の形「 ~で 」にしなければなりません。 また、「猛烈 の N」について、 これはな形容詞ですから、「猛烈 な 」にしなければなりません。 次に、2.の「強 いで 」について、 「強い」はい形容詞ですから、接続の形は「強 くて~ 」にしなければなりません。 では、二つ並べて表現する場合の接続の形を整理してみましょう。 久しぶりに、この教室のアシスタント、猫のさくらの登場です。 「さくらは ~  猫  だ。」の「~」に入 ることばを用意しました。 い形容詞: 耳が大きい   顔が小さい   かわいい な形容詞: 元気な     活発な 名詞:   雑種の     小型の 二つを組み合わせる場合、前に来る方の接続の形は次のようになります。 い形容詞 →  ~くて な形容詞 →  ~で 名詞  →   ~で 例 1)  さくらは、 耳が 大きくて 顔が 小さい 猫だ。        例 2 )さくらは、  かわいくて   元気な 猫だ。 例3)さくらは、  元気で   かわいい 猫だ。 例4)さくらは、  元気で   活発な 猫だ。 例 5)  さくらは、  雑種で   小型の 猫だ。 ちょっと複雑で面倒ですが、この規則をきちんと覚えたら正確さは大きくアップします! 「い形容詞」のほかの記事はこちら: みんながする「いいだ」という間違い 「赤くなる」「きれいになる」 「めんどう」と「めんどくさい」

台風の大きさと強さを表す言葉

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先週の月曜日、台風 18 号が来たばかりなのに、 もう次の台風 19 号がこちらに向かって来ています。 あさって火曜日には関東地方に大きな影響が出ると言われています。 ニュースでは今回の 19 号を「大型で強い台風」と言っています。   気象庁のホームページによると、台風を表す表現の使い方ははっきりと決まっているそうです。 「大型(おおがた)」という言葉は、サイズを表していますが、 風速 15m/s 以上の強い風が吹いているところの半径が 500 ㎞~ 800 ㎞未満の場合は「大型」 800 ㎞以上なら「超大型(ちょうおおがた)」です。  (図:気象庁HPより) 「強い」のほうは一番強い風がどのくらいかを表していて、 33m/s ~ 44m/s  未満は「強い」 44m/s ~ 54m/s  未満は「非常に強い」 54m/s  以上なら「猛烈(もうれつ)な」です。 ニュースや天気予報では、言葉の使い方の正確さが大切なことがよくわかりますね。 ここで使われている表現を日本語文法の点から見てみると、 中心となる名詞N(ここでは「台風」)にどのように続くかという点で、 3 つのタイプがあることがわかります。 1. [い形容詞]   ~い N  例) 強い 台風 2. [な形容詞]   ~な N  例) 猛烈な 台風 3. [名詞]     ~の N  例) 大型の 台風 どの言葉がどのタイプかは間違えやすく、皆さんも悩まされてきたのではないでしょうか。 特にこれらを2つ組み合わせる場合には、間違いがとても多くなります。 よく見る間違い1.  大型と猛烈の台風 よく見る間違い2.  強いで大型の台風 どこが間違っているのでしょうか?  そして、どうすればいいのでしょうか? 答えは次回!

料理で使う言葉

前回の記事はこちら: 「チンする」の意味 前回の問題「チンする」の意味ですが、もうわかった人も多いのではないでしょうか。 これは 「電子レンジで加熱する」 と言う意味です。 「加熱」、つまり「熱を加える」ことは料理するうえで重要なことですね。 電子レンジが発明されるずっと前から、人々は 「(火で直接)焼く」 「(スープで)煮る」 「(油で)揚げる」 「(水蒸気で)蒸す」 などの方法で料理をしてきました。 科学的な発明品である電子レンジはこの全部の働きをしますから、 「(電子レンジで)加熱する」が正しい表現です。 でも、「焼く」「煮る」「揚げる」「蒸す」が生活会話で気軽に使える言葉なのに対して、「加熱する」はちょっと科学的すぎて固い感じがします。 そこで、加熱時間が終わったことを知らせる「チン!」という音から「チンする」という言葉が使われるようになりました。冷凍食品のCMでも「レンジでチンするだけ」のように使われたことから、広まっていきました。 最近の電子レンジで「チン」という音が出るものは ほとんどなく、音楽のようないろいろな音に変わりましたが、この言葉は残りました。 ほかの表現として 「電子レンジで温める」 もあります。 これは冷めてしまった料理をもう一度温かい状態にもどす場合に使われ、日本のコンビニでお弁当を買ったら、 店員:温めますか? 客:はい、お願いします。    いいえ、結構です。 のような会話が行われます。 また、「チンする」という言葉には、冷凍食品などをちょっと温めるだけの簡単な料理というイメージがあります。みなさん、時間があるときは、チンするだけじゃない料理を作りましょうね。