このブログを検索

自己紹介

「とうふ先生」と呼んでください。今まで58の国と地域から来た留学生と一緒に日本語を勉強してきました。Please call me “Teacher Tofu”. I have taught Japanese Language to the international students from 58 different countries and regions.

2019年9月15日日曜日

「困った人」・「困っている人」

あなたは「困った人」ですか?「困っている人」ですか?
「え? 同じでしょう?」と思った人は、気を付けてください。

ある教科書の練習問題に、「困った人」とはどんな人か、「困った人」の習慣や性質を考えて書くというものがありました。その時の学生Aさんと私(とうふ)との会話です。

学生A:先生、困った人は私です。
とうふ: Aさん、なぜ自分が困った人だと思いますか。
学生A:私は今、お金が全然ないからです。
とうふ:? …ああ、それは、Aさんが今困っているということですね。
    でも、Aさんは困った人ではありませんよ。
学生A:私は困った人ではないんですか?! 
とうふ:はい。ちがいます。Aさんは、困っている人ですけど、
    困った人じゃありません。まじめでいい学生です。
学生A:じゃあ、困った人の意味は?
とうふ:それは、「問題がある人」という意味なんです。
    困るのは自分じゃなくて、周りにいるほかの人たちなんです。
    困った人は、例えばいつも約束を忘れたり、仕事をさぼったり、
    みんなに迷惑をかけることをします。
学生A:先生、難しいです!

本当にこの文法は難しいですね。動詞(V)の種類によって、「Vた人」と「Vている人」の違いが、同じではないのです。次の3つの場合があります。普通によくある場合から少ないものへ、順番に見ていきましょう。

1.「Vた人」が「過去にした人」を、「Vている人」が「今している人」を表す場合:
「勉強する」「食べる」「読む」「歌う」などの活動を表す動詞

 「勉強した人」…この人は、例えば昨日の夜、勉強しました。
 「勉強している人」…この人は、今、勉強しています。

2.「Vた人」と「Vている人」の意味が同じ場合:
「眼鏡をかける」「スーツを着る」「帽子をかぶる」など服装を身に着ける動きの動詞
 
「あの眼鏡をかけた人は誰ですか。」と言っても、「眼鏡をかけている人」と言っても、どちらでもいいです。意味も同じです。

3.「Vた人」と「Vている人」が、全然違う意味になる場合:
  「困る」、「あきれる(ひどすぎてびっくりする)」など

こんな動詞はとても数が少ないですから、よく使う「困る」だけ覚えておきましょう。

学生Aさんと私の会話で説明したように、「誰が困るか」が、変わってしまいます。

「彼女は話し合いのとき、ほかの人の話を聞かないし、すぐ怒るし、本当に困った人だ。」(周りの人が困る)

 「駅で困っている人を見たら、『どうしましたか』と、聞いてあげましょう。」(その人が困る)

では、確認の問題をしてみましょう。正しいのはA・Bどちらでしょうか。

うちの猫、さくらは、このごろよく私の仕事のじゃまをします。私が仕事を始める前に、先に私の椅子に座ってしまったり、パソコンの上に乗ったり、キーボードの上を走ったりします。
さくらは、【A 困った猫 ・ B 困っている猫】です。

できましたか。答えは写真の下にあります。

A







2019年4月1日月曜日

「平成」から「令和」に時代の名前が変わる

 今日は、日本にとって、とても大きいニュースがありました。
テレビの中に「令和(れいわ)」という漢字が見えますね。これは、今年5月1日からの日本の新しい時代の名前です。それが今日決められて、発表されたのです。

 年を表すのに、日本でも世界の国と同じように、「2019年」のような西暦を使っていますが、実は日本にはもう一つ、別の年の言い方があります。それは、「大正(たいしょう)1912~1926」、「昭和(しょうわ)1926~1989」、「平成(へいせい)1989~2019」のような時代の名前を使う方法で、その名前のことを、「元号(げんごう)」と言います。
 では、元号はいつ変わるのでしょうか。最近の200年ぐらいの間は、天皇が亡くなって新しい天皇に代わるとき、元号も新しくしていました。長い間、天皇は亡くなるまで代わることができなかったのですが、今の天皇はその習慣をやめて、4月の終わりで引退することを決めました。そして、5月1日に新しい天皇に代わってから使う元号が、その1か月前の今日、発表されたのです。それが「令和」です。日本中の人が、今日初めてその言葉を知ったのです。
 2019年は4月30日までが平成31年で、5月1日からが、令和の初めての年ということになります。初めては特別なので、普通に「1年」というかわりに、「元年」といいます。「元」には「はじめ」という意味があります。
 この元号を使った年の表し方は、自分の生まれた年を言うときによく使います。例えば今20歳の人なら、「何年生まれですか。」と言う質問に「平成11年生まれです。」と答える人のほうが、「1999年生まれです。」という人より多いかもしれません。
 また、病院や役所などで申込書を書くときも、生年月日の「年」ところが「T・S・H」の中から選んで〇をつけるようになっているものが多いです。Tは大正(Taishou)、Sは昭和(Shouwa)、Hは平成(Heisei)です。これからは、もう一つここにR令和(Reiwa)が加わります。
 みなさんの中で、日本に長く住むつもりの人は、自分の生年月日の日本的な言い方を覚えておくと便利です。このようなサイトもありますから、参考にしてくださいね。
https://seireki.hikak.com/







2019年2月11日月曜日

「男」と「男の人」・「女」と「女の人」

みなさん、お久しぶりです。
寒い2月が終わると、もうすぐ春です。私は今日「おひなさま」という人形を飾りました。
3月3日の「ひな祭り(ひなまつり)」が近づいているからです。

「ひな祭り」は女の子のお祭りで、このような人形を飾って将来の幸せな結婚を願います。結婚は男女両方の問題ですから、ひな祭りが男女両方のお祭りだったら、もっといいかもしれません。

さて、「男女(だんじょ)」とは、もちろん「男」と「女」のことですが、「男(おとこ)」「女(おんな)」という名詞(N)は、その一つの言葉だけで使うことは少なくて、「男の~」「女の~」のように使うことが多いです。たとえば「男の人」「女の人」、「男の子」「女の子」、「男の先生」「女の先生」などです。
「男」「女」だけで使ったら、乱暴な感じになったり、怪しい感じになったりします。

×「さっき、から電話がありました。」⇒「男の人から」
×「ドアの前にが立っています。」⇒「女の人が」
「男」「女」では、怪しい人みたいです。間違いというのではなく、雰囲気の問題です。

「男(おとこ)」「女(おんな)」は大人の複雑な恋愛を表現するのに使われることもあります。「男ができた」「女ができた」「男がいる」「女がいる」という場合の「男」「女」は、浮気の相手という意味になってしまいます。家族の話をするとき、子どもについて聞くなら「女の子がいますか。」と「おんなの」まではっきり言わなければなりません。「女がいますか。」と言ってしまったら、ぜんぜん違う質問になって大変です。

今からずっと前、私がまだとても若くて日本語の先生になったばかりのころ、ある学生に「先生は男がほしいですか。」と質問されてびっくりしたことがあります。それは、とても恥ずかしくて、普通の人は聞かないことですから。そのとき、自分がどのように答えたか、びっくりしすぎたので覚えていません。でも、ずっと後で、その学生が日本語が上手になってから、その時に本当に聞きたかったことがわかりました。「先生は毎日熱心に仕事ばかりしているけど、恋人がほしいと思わないんですか。将来結婚したくないんですか。」と聞きたかったのです。「まだ日本語をあまり知らなかったから、習った言葉だけを並べたら先生がすごくびっくりして逃げて行ったので、なぜだろうと思いました。」ということでした。今の私だったら、すぐに間違いに気が付いたと思います。今ではとてもなつかしい思い出です。